「……アレンってさ、朝からよくそんなに入るよね」
そう言ったは、眠そうに目をこすっていた。
彼女の前には白いお皿と、その上にのっている食パン。
どう考えても僕とは全然量が違う。
「いまさらですか?」
「うん。いまさらだね」
そう言って苦笑した。
とは教団に入ったときからの付き合いで、結構お世話になっている。
科学班なのに妙に医療に長けているから、たまに医療班が忙しいと引き出されていく。
まあ、その度にリーバーさんやらジョニーやらが喚いてるから、最近はその頻度も減ったようだが。
彼女が入団したのは僕が入る三年前だったらしい。
自分から望んで科学班に入り、素晴らしい腕と器量のよさで上司からの信頼を集めていった人。
彼女の印象を聞けばそう、誰もが答えるのだ。
『天使のような人』だと。
……正直正反対なのだが。
なぜだか僕の前だと若干腹黒いし、ポーカー(イカサマ)も僕よりうまいし……まあ、それを人に言っても信じてはもらえないだろうからあえて言わないけど。
「若干腹黒なんて失礼な」
「だから、勝手に心読んだりするからそう言われるんですよ」
「大事なところは読んでないけどね」
「読まれたら困ります」
……一応一般常識はあるので、まあ心を読むと言っても上辺だけなのだ。
まあ、それも本人が言っていたわけではなく、入団直後からかかわりの深くなった彼女に対する僕の結論なんだけど。
が心を読むのは決まって、相手の表情が変わったとき。
それも、明るい表情ではなく暗い表情のときだけ。他のときは意地でも読まない。
多分それは心配、しているからなんだろうと思うのだ。
だから僕は嫌いになれない。
僕にだけ腹黒いところを見せて、皆の前では若干猫っかぶりの彼女を。
放っておけないと思うほどに、情が移って。
この輝きを失わない青の瞳に、何度助けられたのだろう。
僕が落ち込んでいれば、強引に心を読むのではなく己の口で告げるまでは待っていてくれる。
「」
「何?」
「……好きです」
「物好きだね」
気が抜けそうになるこの会話に、すでに愛着さえわいて。
「でも、」
素直ってなんですか
- 2009/09/27
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